2008年9月27日土曜日

2008年9月26日 金曜日 尹 雄大 グラミン銀行はなぜ貧困を減らせたのか?


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グラミン銀行はなぜ貧困を減らせたのか?
「開発経済学」から考える社会的ストレスへの処方箋
2008年9月26日 金曜日 尹 雄大
ストレス  グラミン銀行  貧困  マイクロクレジット  --むしろ独立する前は、安定した生活を営める地域だったというわけですか。国家として独立し、近代的な市場経済をはじめ、従来の伝統的な社会にはなかったシステムを導入した結果、貧困が引き起こされたのでしょうか?

山形:ベンガル地域はインドの中でも先進地域として数えられ、また、いまでも民衆が詩を吟ずることを普通の趣味にするなど文化的にも優れています。それが最貧国に数え上げられるようになったのは、他の地域よりも変化が起こらなかったからだと言えます。

 伝統的な社会は秩序だっており、不確定の要素は少なく、安定していた。そんな社会に異物が入って来たことで、安定が崩され、近代国家が成立した。国民ひとりひとりが外部からの刺激にさらされるようになった、と考えがちです。

 けれど、近代以前の安定した社会とは、変化に乏しい社会のことでもあります。安定していることと、豊かで幸せな世の中であることは、ただちに結びつきません。

 経済史では、経済成長は産業革命後に起きたことであり、革命以前に「経済成長はなかった」という見方をしています。そうした観点からすると、伝統的な安定した社会とは、外からの刺激のない“貧しいけれど平和な社会”だったことになります。


外からの刺激が国を発展させる

--安定した伝統社会では身分に応じた暮らしがあり、秩序だっていました。是非はともかく身分社会には過度の欲望を抑える働きがあったと考えられます。近代的な貨幣を中心にした市場経済は、伝統社会では特権的な者に許された、個人が自由に欲望を開放することを肯定します。その衝撃は伝統社会を強く揺さぶったと思います。

山形:開発途上国の社会や経済に、外からの刺激が加わるトピックは非常に重要です。とりわけ貨幣によって価値を蓄積できる手段が増えたことで、物々交換では得られなかったものの取引ができるようになりました。

 それは人々にいろんな可能性を広げる手段でもあると同時に、個々人に眠っていた欲望も掘り起こしました。たとえば、タバコや酒、ドラッグといった、特定の宗教や共同体の価値観でいえば望ましくないとされるものへの志向です。 

 次いで貨幣経済のもたらした影響といえば、輸入品が増えるという現象です。「買わなければいいだろう」で済めばいいのですが、ここには「ただ欲しいから買うのではない」という欲望の複雑な側面があります。

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